やる気がない人には成長意欲がないのか

従業員に対して、「この人は、成長しようという気がないのだろうか」と思うことはありますか？

エネルギーに溢れた前向きな経営者からすると、現状に満足しているように見える従業員は、やる気がないようで、物足りなく感じることがあるかもしれません。

そのような人には、前向きな気持ちはないのでしょうか？

 

芽はどちらに伸びるか

 

事務所に鉢植えの観葉植物を置いているのですが、ある枝だけ、切っても切り口の横からすぐに新しい芽が出て、またどんどん伸びてくるのです。

どこの枝が伸びると思われますか？

 

それは、窓に近い所にある枝です。

元々は日差しの強い国に生えている植物のようで、少しでも窓からの光を受け止めようとしているのでしょう。窓に新しい葉をかざすように、そこだけ伸びています。

それを見るたびに、生命の力強さや、よりよい方向に伸びようとする力に驚きます。

そして、ある話を思い出します。

 

カール・ロジャーズという、アメリカの臨床心理学者がいます。

カウンセリングを勉強すると必ずと言っていいほど名前が出てくる、カウンセリングの世界に大きな影響を与えた人です。

そのロジャーズは、子供の頃、地下室にしまわれていたじゃがいもを見ます。

そして、じゃがいもが暗い地下室の中で、窓から漏れる日光に向かって芽を伸ばす姿に感銘を受けます。

彼はこのことから、「有機体の行動は、自らを維持し強化し再生産する方向に向かっている」「人は、成長と生成に向かってもがいている」と考えました。

 

どんな人にも成長への欲求があるという考え方は、私にとっても大切にしたい考え方です。

実際、色々な方のお話を伺っても、多くの人がとても前向きに自分を伸ばしたいと考えており、それを聞いてこちらもまた前向きな気持ちにさせてもらったりします。

ただ、その方法が分からなかったり、環境の整え方が分からなかったりして、止まってしまっているということがあるようです。

 

見た目からは分からなくても、人は成長欲求を持っています。

そして、それを実現する方法を一緒に考えることで前に踏み出すお手伝いができるのが、キャリアコンサルティングの醍醐味だと感じています。